幸手市議会定例会報告 ~議会で何が決まったの?~
令和7年第3回幸手市議会定例会 9月1日~9月26日(以下、9月議会)
9月に開かれた幸手市議会第3回定例会では、令和6年度の決算認定をはじめ、ふるさと納税基金条例の新設、下水道使用料の改定など、市民生活に関わる重要な議案が審議されました。
特に下水道料金の改定は皆さまの生活に直結しています。しかし現行料金では事業運営の安定が難しくなっていることから、令和8年度から段階的に見直しが行われる予定です。生活に関わる負担である一方、下水道は市民の衛生環境を支える基幹インフラであり、将来にわたり安定したサービスを維持するための必要な改定とされています。
また市議会報告が令和8年2月に開催されることも決定されました。
令和7年第4回幸手市議会定例会 11月28日~12月17日(以下、12月議会)
12月議会では、令和9年度より義務教育学校となる東中学校の体育館大規模改修に関する契約変更が審議されました。変更内容は、工期延長と工事内容の追加による増額です。工期延長は電気資材の入荷遅れが要因で、増額の主な理由は、老朽化に伴い必要となったサッシ補修、アリーナ床下基礎の追加施工、木部塗装、屋根・外装補修など、安全性確保のための追加工事が発生したためです。
また新制度「こども誰でも通園制度(乳児等通園支援事業)」の開始準備が進み、幸手市では第一保育所を拠点に令和8年度から0〜3歳未満の未就園児を対象に月10時間まで利用できる仕組みが導入されます。子育て支援の充実を図る取り組みが本格化しています。
水害の記憶と巨大治水施設から考える地域防災
幸手市議会より出向しています利根川栗橋流域水防事務組合議会では、治水・防災に関する視察研修を実施しました。
1日目は、平成27年関東・東北豪雨で甚大な被害を受けた鬼怒川堤防決壊現場を視察。当時の状況や復旧の経緯、現在進められている堤防強化策について説明を受け、水害が地域にもたらす影響の大きさと、事前の備えの重要性を改めて認識しました。
2日目は、首都圏外郭放水路を視察。巨大な立坑や地下神殿(調圧水槽)を間近で見学し、都市部を洪水から守るために築かれた、世界最大級の地下放水施設の役割と規模を実感しました。
私たちの暮らしの安全は、こうした施設と、日々現場を支える方々の不断の努力によって守られています。今回の視察で得た学びを、今後の防災・減災の取組に活かしてまいります。
・9月議会の一般質問
Q:近年の猛暑を受け、子どもたちが安全・安心に学べる学校環境づくりをどう進めるか。
A:今年度は上高野小学校・幸手東中学校の体育館アリーナのエアコン工事を実施している。以降は毎年度2校を目安に大規模改修と併せて整備し、令和11年度末までには統廃合される4校を除き全ての小中学校体育館にエアコンを設置を完了させる予定である。
みやざわ大地の考え方:
前回に引き続き、小中学校へのエアコン早期設置のため質問をいたしました。体育館へのエアコン整備は「子どもの命を守る環境整備」であり、もはや贅沢ではなく必須の公共設備と考えています。猛暑の中での授業や行事は児童生徒にとって過酷であり、教育の安全性・集中力の確保のためにも早期の整備が求められます。「子どもたちの1年は大人の1年よりも重い」との立場から現行スケジュールを待つことなく、1日でも早い環境改善を目指していただきたい。
Q:地域経済の成長を支える「地域未来投資促進法」を、幸手市としてどのように活用できると考えているか。
A:この制度は、地域特性を活かした事業を後押しするための支援制度である。幸手市としても、今後の産業振興に活用できる可能性について、現時点では市内にマッチする具体事業はないため、地域特性の分析・整理を進めながら、今後の研究・調査を重ねていく。
みやざわ大地の考え方:
「地域未来投資促進法」は地域の企業が新しい事業や投資を行いやすくする国の制度で、企業誘致や農地の有効活用などにもつながる仕組みです。私は、市街化調整区域も含めた柔軟な活用と、民間の発想を取り入れた地域振興が必要であると考えます。この制度に合う企業を掘り起こすため、市による分かりやすい説明やPRの必要性を提言しました。本法律が難しく民間では理解されにくい面もあるため、市が制度の解像度を上げて発信することが、地域経済を動かす第一歩だと考えます。
・12月議会の一般質問
Q:市役所の開庁時間の見直しと、AI・デジタル技術を活用した働き方改革、市民サービス向上について、現在どのように検討が進んでいるか。
A:市は開庁時間見直しに向け、他市調査のほか、職員アンケートを行い、職員の約9割が必要と回答している。併せて電子申請やオンライン相談、窓口予約、AI対応を進め来庁しなくても済む手続きを拡大し、実施時期は早ければ来年度9月頃を目指す。
みやざわ大地の考え方:
開庁時間の見直しは、職員の働く時間をただ短くするという話ではありません。「市民対応の時間」と「内部での業務処理や改善に充てる時間」を、どう最適に配分するかが本質だと考えています。限られた職員数でも質の高い市役所サービスを続けるためには、デジタル化や働き方改革は避けて通れません一方で、高齢者などデジタルが苦手な方への配慮や、対面窓口での丁寧な対応もこれまで以上に重要です。来庁しなくても済む人には、より便利に。来庁される方には、これまで以上に親切に。その両立を目指し、今後も議論を重ねていきます。
Q:空家等対策計画の進捗状況は。また大きな金額となる解体費の負担や、市街化調整区域にある空き家にはどのように対応するのか。
A:市は「幸手市空家等対策計画」を取りまとめ、完成・公表に向けて作業を進めている。また、昭和56年以前に建てられた旧耐震基準の危険性が高い空き家を解体する際、補助金を交付する制度を創設する方向で検討中である。市街化調整区域の空き家については、都市計画法や農地法の制約を踏まえつつ、個別相談に応じながら活用について支援方法を整理していく。さらに金融機関の空き家解体ローンなど外部制度の紹介も視野に入れ、所有者の負担軽減を図っていく方針である。
みやざわ大地の考え方:
空き家対策は『放置させない仕組みづくり』が鍵です。特定空き家の早期把握に加え、解体補助・解体ローン・リフォーム補助など複数の支援策を組み合わせることで、所有者が一歩踏み出しやすい環境を整えるべきだと提案。今回、昭和56年以前の旧耐震空き家を対象にした解体補助制度が前向きに検討されるなど、以前から訴えてきた内容が一定の成果として形になりつつあります。また市街化調整区域や農家住宅のように法規制が複雑なケースでは、関係部署が連携した相談窓口を設け、将来の利活用まで見据えた個別支援につなげていくことが重要だと考えています。